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歯科医師の北見です。
今日は現代の虫歯予防に欠かせない「フッ素」に関してお話させていただきます。
「フッ素」と言っても、虫歯予防に用いられるのはフッ素そのものではなく、フッ素と他の元素が結びついた、いわゆるフッ素化合物(フッ化物)です。一般的な歯磨き粉の成分表示には、「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」と表記されています。
フッ化物を虫歯予防に応用する研究の歴史は長いです。古くは1940年代から行われており、現在まで数多くの有効性を認める論文が存在します。虫歯予防にフッ化物を用いることは過去の研究の積み重ねにより、明確な科学的根拠があるのです。
フッ化物の利用は世界的に認められた、最も科学的根拠の高い虫歯予防法と言えます。
フッ化物が虫歯予防に効くメカニズムですが、歯の表面に対する対する効果と虫歯の原因菌に対する効果があります。
以上が虫歯予防に対して効果的に作用すると考えられています。
歯磨き粉にはいろいろな有効成分が含まれていますが、上記の理由から最も重要な成分は「フッ化物」と言えます。
最近の歯磨き粉には90%以上の製品にフッ化物が入っています。つまり何も考えずに市販の歯磨き粉を買っても、大抵フッ化物が入っていると思っていいでしょう。基本的には普段の歯磨きの際に、フッ化物入りの歯磨き粉を使うだけで、虫歯予防効果が得られます。
ただし、より効果的にフッ化物を利用したい方は『濃度』に注目してください。
フッ化物は、「1000ppm以上の濃度において500ppm高くなるごとに6%の虫歯予防効果の上昇が認められる」という研究結果があります。つまり市販の歯磨き粉を選ぶ際に、『なるべくフッ化物の濃度が高い歯磨き粉を選ぶ』と虫歯予防効果を高めることができます。
実は一般的にあまり知られていませんが、2016年まで日本の歯磨き粉のフッ化物濃度は、他の先進国で売られているものと比べて低かったのです。 しかし、2017年にようやく日本で売られている歯磨き粉のフッ化物濃度の上限が引き上げられました。(以前:上限1000ppm → 現在上限1500ppm あくまで上限なので、市販の表記は1450ppmです。)
歯磨き粉を買う際は「フッ素1450ppm」、「高濃度フッ素配合」などの表記があるか確認すると良いと思います。
補足ですが、歯磨きをした後に何度も口を濯いでしまうと、せっかく口の中にいれたのフッ化物が流れてしまいます。ちょっとしたテクニックですが、口を濯ぐ際になるべく少なめの水で、1~2回に留めておくと良いです。
最近、一部の人たちが「フッ素(フッ化物)は危険だ」という根拠のないデマを流していることがあります。
結論から言うと、虫歯予防に用いる量のフッ化物であれば問題ありません。もちろん、安全な物質であっても、過剰な量を摂取すれば体に害を生じます。塩分も適量であれば身体に対して問題ないですが、過剰摂取は健康を害するのと同じです。
ただ注意すべきは、顎の中で歯が作られている時期の子供です。この時期の子供が多くのフッ素を長年摂取してしまうと『斑状歯(歯牙フッ化物症)』と呼ばれる状態になる場合があります。
年齢別の歯磨き粉使用は、
を目安にすると良いと思います。(参考:フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方)
量や使用法に気を付ける必要はありますが、乳歯が生えたばかりの小さいうちからフッ化物を使うことは、虫歯予防に有効です。
今回は虫歯予防になぜフッ素(フッ化物)が使われるのか、その使用法を簡単にまとめました。
覚えて頂きたい事は、
・数多くの研究によって科学的根拠が認められている。
・通常の使用では、障害や副作用等における根拠のある報告はない。
と言うことです。
虫歯予防はフッ素(フッ化物)を使うことが全てではありませんが、かなり重要であることはお分かりいただけたでしょうか。
ぜひ以上のことを歯磨き粉選び・使用時の参考にしてみて下さい。
長くなりましたが現場からは以上です!!!
2020年1月25日 (土)
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